『ロストランズ 闇を狩る者』は、“バイオハザード”コンビとしておなじみのミラ・ジョヴォヴィッチとポール・W・S・アンダーソン夫妻が再タッグを組んだ最新作。しかも原作は『ゲーム・オブ・スローンズ』の作者、ジョージ・R・R・マーティンの短編という豪華すぎる組み合わせ。舞台は文明崩壊後の荒廃した世界で、金さえ払えば願いを叶える魔女アリスが主人公。もうこの時点でワクワクしかない。
ただし、この作品は賛否がとにかく激しい。「映像とアクションは最高!」「でもストーリーが雑すぎる!」っていう感想がほぼ半々。実際、観る人によって“神作”にも“地雷映画”にもなるタイプ。そんな『ロストランズ 闇を狩る者』を、ネタバレ込みでがっつりレビューしていく。
ここではストーリーの核心から、アクション・映像美・原作との違いまで全部まとめて解析。観るか迷ってる人も、すでに観てモヤモヤしてる人も、このレビューで作品の“本当の顔”が見えてくるはず。
- ✔ 『ロストランズ 闇を狩る者』の物語全体と結末の内容が明確に把握できる
- ✔ 本作が「脚本評価で酷評されやすい理由」とその具体的なポイントが整理される
- ✔ 映像・アクション・世界観が高評価される一方で賛否が分かれる要因が理解できる
- ✔ 原作と映画版の違いによって生じた評価のズレが明確になる
- ✔ 本作がどのタイプの映画ファンに向いているかが断定的に判断できる
『ロストランズ 闇を狩る者』の結末とストーリー完全ネタバレ
『ロストランズ 闇を狩る者』のストーリーは、文明崩壊後の世界を舞台にしたダークファンタジー。魔女グレイ・アリスが王妃からの依頼を受け、死の地「ロストランズ」へ向かうという筋書きだ。王妃の目的は単純ではなく、その裏には大きな野望と悲劇が隠されている。ここではネタバレ込みで、物語の核心に迫る。
魔女グレイ・アリスと王妃の契約
物語の始まりは、王妃メランジュが「愛されたい」という欲望から、魔女アリスに願いを託すところから始まる。アリスは「対価さえ払えばどんな願いも叶える」と言われる存在。だけど、この契約にはとんでもない代償がついてくる。王妃の願いを叶えるためにアリスが踏み入れるのが、地獄のような大地「ロストランズ」。この地では、生と死、光と闇がねじれたように混在してる。
アリスは案内人として、無骨な戦士ボイス(演じるのはデイヴ・バウティスタ)を連れて旅に出る。最初こそ淡々としてた二人だけど、旅を進めるうちに互いの目的や過去が交錯していく。
処刑人アッシュの追跡とロストランズの真相
アリスを追うのが冷酷な処刑人アッシュ。彼女は教会の命令でアリスを排除しようとするが、単なる敵ではなく過去に因縁を持つ存在でもある。旅の途中、アリスとアッシュの戦いは激化し、やがてその背景にある「闇を狩る者」の真実が明らかになる。
実はロストランズ自体が「願いの代償を払うための地」だった。王妃が求めた“愛”は他者の命と引き換えに成立する歪んだ魔法で、アリスはその真実を知り、契約を破棄する決断を迫られる。アッシュの冷たい刃と、アリスの魔力がぶつかるクライマックスでは、彼女の中の人間らしさと魔女としての宿命がせめぎ合う。
終盤のどんでん返しと王妃の目的
終盤では、王妃の願いが「愛されたい」というものではなく、「永遠に恐れられたい」という野望にすり替わっていたことが判明する。アリスはそれを止めようとするが、最終的に王妃は自ら闇に飲み込まれる形で破滅。アリスは“ロストランズ”を閉じ、そこで犠牲となった魂を解放する。
ただ、その代償としてアリス自身もこの地に縛られてしまう。ボイスは彼女を救おうとするが、アリスは「誰かがこの闇を見張らなきゃいけない」と言い残し、闇の中に消える。最後のシーンでは、ボイスが再び“契約の石”を拾い上げる描写があり、物語が続く可能性を匂わせている。
脚本の評価|「荒い」のではなく「存在しない」?
観客の多くが口を揃えて言うのが、「脚本が荒い」という評価。でも実際に観ると、もはや“荒い”というより“脚本そのものが存在してないのでは?”と思うほどシーンの繋がりがバラバラ。ここではその理由を深掘りしてみる。
観客を置き去りにする展開の理由
レビューサイト映画.comでは、「説明責任を完全に放棄した構成」とまで評されてる。世界が崩壊した理由も、魔女の力の仕組みも、全部“察してくれ”スタイル。序盤から展開が急ぎすぎて、キャラの感情や背景が理解できる前に次のシーンに飛んでしまう。
特に魔女アリスの“願いの代償”設定はめちゃくちゃ面白いのに、深掘りが足りなさすぎ。まるでプロローグだけで終わっちゃった感じ。原作ではもっと哲学的なテーマがあったらしいけど、映画ではアクション優先にしたせいで置いてけぼりになってる。
原作短編とのギャップと構成の限界
原作はジョージ・R・R・マーティンによる短編小説。つまり、映画化する時点でボリュームが足りないんだよね。ポール・W・S・アンダーソン監督はその隙間をアクションと映像で埋めようとしたけど、結果的に「ストーリーが薄く、見た目だけ派手」になってしまった。
Filmarksのレビューでも「説明不足で意味がわからない」「キャラの動機が希薄」との声が多い。構成的には“ミラをカッコよく撮るための映画”という印象が強く、物語の肉付けより演出の見せ場を優先したのが敗因。
映像と世界観の再現度|アンリアルエンジンで描かれた“チープな美”
本作の映像はかなり特徴的。監督が「ブルースクリーンのVFXには幻滅していた」と公言していて、最新技術アンリアルエンジンを導入して撮影してる。だけど、完成映像を見ると賛否が真っ二つに分かれる仕上がりだ。
ゲーム的演出と没入感のバランス
映像全体がまるでRPGゲームの中にいるような質感で、背景の作り込みはすごい。でも「ゲームっぽすぎて没入できない」という意見も多かった。リアリティよりもスタイリッシュさを優先しているから、画面は綺麗でも“手触り”が薄い。
トーキョー女子映画部のレビューによると、「俳優が実際に完成映像を見ながら演じられるようにした」とのこと。これは革命的な試みなんだけど、やっぱり現実感が薄く、感情移入の難しさに繋がってるっぽい。
VFXの質感が「PS2時代」と言われた理由
映画.comでは「背景が無料の壁紙みたい」とまで言われてる。たしかに光や影の処理が甘く、火や煙のエフェクトが妙に滲む。監督はリアルタイム合成を狙ったのかもしれないけど、その結果“中途半端なCG感”が出てしまった。
ただ、個人的にはこのチープさが逆にクセになる。90年代SFの香りがして、むしろ懐かしい。観る人によっては“あえての味”に感じるはず。
キャラクター分析|グレイ・アリスとボイスの関係性
キャラの魅力がストーリーを支えるかどうかって、ダークファンタジーでは超重要。ここでは主人公グレイ・アリスと相棒ボイスの関係を中心に掘り下げていく。ミラ・ジョヴォヴィッチの存在感、そしてバウティスタのバランス感が作品の鍵になってる。
ミラ・ジョヴォヴィッチの魅力と課題
ミラ・ジョヴォヴィッチが演じるアリスは、孤高で強くて、でもどこか壊れた感じが魅力。『バイオハザード』の延長線上にあるキャラ造形で、まさに“アンダーソンのミューズ”って感じだ。ただし、今回のアリスは過去作に比べて感情表現が少なく、クールすぎて人間味が薄い。
一方で、両手にカマを持って戦うアクションは最高にクール。特に列車上のバトルシーンは本作一番の見せ場。観客の中には「これぞミラ!」って歓声を上げた人もいたはず。
デイヴ・バウティスタの存在感と演技評価
デイヴ・バウティスタ演じるボイスは、寡黙なハンターで、アリスとの会話が少ない分、アイコンタクトや仕草で感情を伝えるタイプ。彼のパワフルなアクションは文句なしに迫力満点。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の頃よりも渋みが増してる。
ただ、二人の関係が深まる描写が少ないせいで、「なぜ信頼し合うようになったのか」が分かりづらい。もう少し会話や過去の掘り下げがあれば、感情の重みが増したのになと思う。
批評サイト別の評価傾向まとめ
『ロストランズ 闇を狩る者』の評価はサイトによって大きく差がある。全体的には「映像とアクションは良いが、ストーリーが雑」という声が圧倒的。ここでは主要3サイトの評価傾向を比較しながら、その理由を整理してみよう。
Filmarksレビュー平均★2.9の理由
Filmarksでは平均スコア2.9点。つまり“悪くはないけど、良くもない”という微妙な位置。ネタバレレビューでは「30分くらいカットされたかのような説明不足」「主人公が何者か分からない」といった指摘が目立つ。
観客の期待値が高かった分、物語の“薄さ”が余計に気になったようだ。ただ、アクションやミラの存在感に対しては一定の評価があり、特に「列車マッドマックス感が良い」という声も多い。
映画.comで酷評された「脚本不在」と編集の粗さ
映画.comではレビュー平均が2.4前後と低め。「脚本が小学生レベル」「編集が雑」「観客を置いてきぼり」といった辛口評価が並ぶ。中でも話題になったのが、「アンダーソン監督は嫁(ミラ)を綺麗に撮れれば満足」という皮肉コメント。
それでも一部ファンからは、「地雷映画として観れば最高」「B級らしさが逆に愛おしい」といった好意的意見もあって、いわば“信者向け作品”のような立ち位置になっている。
トーキョー女子映画部が評価した「映像体験の新しさ」
トーキョー女子映画部のレビューでは、比較的好意的に評価されている。特に監督が導入したアンリアルエンジンを使った映像制作に注目。「ブルースクリーンとは違うリアルタイム演出が面白い」と評価し、ゲーム的演出を肯定的に捉えているのが印象的。
彼らは「映画というより、映像アートとして観ると面白い」と分析していて、アクションのテンポ感と独特の質感を“新しい映像体験”として紹介している。
原作との比較|ジョージ・R・R・マーティンの物語性はどこまで残ったか
本作の原作は、『ゲーム・オブ・スローンズ』の生みの親、ジョージ・R・R・マーティンの短編小説。重厚で緻密な世界観を得意とする彼の物語を、アンダーソン監督がどう解釈したのか──ここが大きな焦点になる。
政治劇の削除とストーリーの簡略化
原作には権力闘争や宗教的支配といった、マーティンらしい政治劇が含まれていたらしい。しかし映画ではそれらの要素がほぼカットされ、シンプルな冒険譚に変更されている。結果として、世界の奥行きが消え、“意味深そうで実は何もない”展開に見えてしまう。
特に「教会」と「魔女」の対立構造が薄く描かれたのが惜しい。もしこの要素をもう少し掘り下げていれば、『ゲーム・オブ・スローンズ』のような緊張感が出たはず。
“短編を長編化する難しさ”が生んだ脚本の空白
原作が短編という時点で、映画化の難易度は高い。エピソードを追加しないと尺が持たないが、追加すれば世界観が崩れる。そのジレンマの中で、アンダーソン監督は“雰囲気重視”の選択をした結果、ストーリーよりもビジュアルが先行してしまった。
ただ、ラストのアリスの“犠牲”シーンには、マーティンの人間観がかすかに残っている気がする。愛も正義も、結局は代償なしでは成立しないという皮肉なテーマだ。
『ロストランズ 闇を狩る者』は観るべきか?向いている人・向いていない人
ここまで賛否が割れる作品も珍しい。観る価値があるのかどうか──その答えは「何を求めるか」によって変わる。ここでは、観るべきタイプと避けた方がいいタイプを分けて考えてみよう。
映像重視・アクション好きにおすすめな理由
とにかく映像とアクションを楽しみたい人には刺さる。ミラ・ジョヴォヴィッチのキレのある動き、デイヴ・バウティスタの重量感あるアクション、そしてアンリアルエンジンによる幻想的な背景。この3つの要素が組み合わさって、独特の没入感を生み出している。
ストーリーを細かく気にせず、雰囲気で楽しむタイプの人にはむしろ最適。B級映画の醍醐味を理解している人なら、きっとこの“チープなかっこよさ”を味わえるはず。
ストーリー重視派が退屈に感じるポイント
逆に、しっかりしたストーリー構成や伏線回収を求める人にはおすすめしづらい。展開が唐突で、キャラの動機や設定の説明が薄い。Filmarksのレビューでも「中盤で寝落ちした」という声があるほど、物語の流れが掴みにくい。
“何かを考えさせる映画”を期待するより、“何も考えずに楽しむ映画”として観る方が正解。もしストーリー重視なら、マーティン原作のドラマシリーズを観た方が満足度は高いかも。
ロストランズ 闇を狩る者のレビュー総まとめ
最後にまとめると、『ロストランズ 闇を狩る者』はストーリーの粗さこそ目立つけど、アンダーソン夫妻らしい“勢いのあるエンタメ”としては十分成立している。ダークファンタジー×アクションの融合を狙った挑戦的な一作だ。
ミラ&アンダーソン夫妻が作る“愛すべき駄作”の魅力
多くのレビューで「駄作」と言われてるけど、それでも嫌いになれない理由は明確。ミラ・ジョヴォヴィッチとポール・W・S・アンダーソンの夫婦コンビが本気で“自分たちの好きな世界”を形にしているからだ。
映像の荒さも脚本の甘さも、むしろこの二人の個性として受け入れた方が楽しめる。いわば「地雷系映画の最高峰」。
次作への期待と課題を残すダークファンタジーの可能性
今回の挑戦は間違いなく次に繋がる一歩。技術的にも演出的にも進化の余地が大きく、シリーズ化の可能性もある。もし次作があるなら、ぜひ“ロストランズ”の世界観をもっと掘り下げてほしい。
完璧ではないけど、強烈な個性を持つ一本。映画としての完成度より、制作者の情熱を感じたい人にはおすすめの作品だ。
- ★ 『ロストランズ 闇を狩る者』は物語の結末まで含めて評価が大きく分かれるダークファンタジー映画である
- ★ 脚本と構成の弱さが主要批評サイトで低評価の決定打となっている
- ★ 映像表現とアクション演出は一定の評価を得ておりB級的魅力が強い作品である
- ★ 原作短編の要素は一部に留まり映画版は演出重視の内容へ大きく変化している
- ★ 本作はストーリー重視層には不向きで映像・アクション重視層向けの作品である
コメント Comments
コメント一覧
コメントはありません。
トラックバックURL
https://cinema-check.net/archives/232/trackback